【前編】美しいWORLDISTA【感想】
静岡〜宮城までで私の参加した公演の総合的な印象から、美しかったシーン、思い出や超個人的解釈などなどを盛り込んだ内容です。いちオタクのセミフィクションレポだと思って読んでください!
シンクロ率の上昇を伝える声に息を飲む。
会場のボルテージがそれと比例するように昂り、一瞬何も聞こえないと勘違いするほどの歓声が館内に充満した。
わたしはWORLDISTA杯の開幕に立ち会い、そしてチーム●●としてその催しに参加した。
興奮を均す間も無く『WORLDISTA』のイントロが始まる。
『NEVERLAND』や『EPCOTIA』を彷彿とさせる楽曲、という印象だったツアー前。その時の私では予想もできないほどに、強いインパクトを残されたのがこの『WORLDISTA』で。
イントロで緊張感を最大限まで高めた後の静けさ、暗転、メンバーの登場と共に心をグッと掴まれるこのわずか数十秒の間に、これから始まる全てへの期待が満ちる。
「3.2.1...WORLDISTA」手越祐也の興奮を隠し切れないでいる声が、愉悦にまみれた表情が、自信と挑戦と遊び心に溢れた仕草のひとつひとつが、スリーカウントのたびに心臓を鷲掴みにする。
私は手越祐也が好きだ。
何度でもいつまででもそれを認めるから、どうか呼吸の仕方を教えて欲しかった。
好きで好きで、たまらないと思った。
一幕終わって導入に入る。
バワリーとは。ダブルエッグとは。そして、WORLDISTAとは。この世界の楽しみ方をチュートリアルされながら、二幕への期待や緊張を誤魔化す。
……が、それも無意味な抵抗で。
『インビジブル・ダンジョン』はイントロから何から全部が反則みたいな曲だから。
暗闇のなか、ふいに降ってきたスポットを浴びて歌い出す増田貴久の姿に、はっとする。歌い出し一文字目から大切に発音する彼の声と、うつむき気味ながらわずかに垣間見える表情と。そして踏みしめた二足を軸にゆったりとテンポを取りながら揺れる身体、赤い衣装と背の鬣。
そう、私には、あの装飾は鬣のようだなと感ぜられる。美しい馬のような増田貴久と、背中に輝いて彼の動きを追う鬣。タテガミ。
一転して手越祐也の姿は可憐な子鹿のようだと思う。この世に生まれた喜びで跳ね回る子鹿。ステージに立つために生きていると言った彼が、華奢な肢体を使って軽やかに舞う様子、キラキラと透ける尾が揺れるたび、シャラシャラと音が聞こえてくるような。ステージの神さまが愛玩動物として愛でるためにこの世に生み出したような。
話は遡るが、『UR not alone』を歌う小山慶一郎がただただ美しい。
輝く汗さえ特殊効果のようにその美しさに磨きをかけて、全身でオーディエンスの歌声を受け止める。受け止る歌声の大きさに破顔し、何度も頷き、自身の耳で直接受け取った感動を私たちに伝えてくれる。その感動を分かち合いたいというような顔で並び歌う仲間を見る。
そして、まっすぐ前を見て同じように全身全霊で歌う仲間たちを見つめる、誇らしげな横顔。私はこれ以上美しい横顔を知らない。
たくさんの忘れられない景色、代わりなどあり得ない存在感を共有するうち、最初のソロ曲ゾーンに入る。
『Symphony of Dissonance』はオーケストラのチューニングを思わせるイントロから始まる。調律は合うどころかすれ違いながら不協和音となり……増田貴久が歌い始める。ステージの鏡に反射したレーザービームが荊のように張り巡らされてたった一人を雁字搦めにする。囚われた彼は、それを打ち解くように力強く歌う。ふと見上げると、面で放たれたレーザーに、強めのスモークが燻る景色。鈍色に曇っていく空のような。やがて遠雷が聞こえてくるような。
三幕はミドルテンポ〜バラードが続く。これだけ“聞かせる”曲を続けたセットリストはとても挑戦的だと感じるし、NEWSは歌を磨きました、という自信の表れでもあるのかと思うとすごく男前だ。
『リボン』は4人の声の巧みな重なり合いに心を動かされる。加藤シゲアキのパウダリーな声質が際立つ歌割りが秀逸で、
「愛の音があふれてたあの頃に置いてきた箱」は聞くたびに泣いてしまう。
生成り色のコットンのように寄り添ってくれる小山慶一郎、コシのある絹のような手越祐也、それを覆うオーガンジーのようにふんわりと優しい増田貴久、そして一番外側に繊細な装飾を纏ったレースのような加藤シゲアキ。4人の声が上質な4種類の布みたいに重なって、贅沢なドレスが仕上がる……そんなイメージが頭に浮かぶ。
絶対にこの4人でしか成し得ないことを形にして魅せてもらっている。そのことを強く感じながら、美しい彼らとこの景色に想いを馳せながら、MCゾーンに入れば、メンバーの股間を触る嬉しそうな自担と遭遇したりするのである。
【後編へ続く】