叶うなら、彼らに永遠の◯◯を

ジャニーズアイドル NEWSが大好きな飲酒プレイヤー

コンプレックスの話

 なんだかんだで今日も早朝に無双モードになっている。

 実家暮らしでは母に起こされていたせいで、なんとかまともな人間生活をこなしていたけれど、よく考えてみると私は幼い頃から夜が好きだった。

 小学生時代、ベッドに入ってから頭の中に時間割を作り、その内容通りに考えごとをしながら寝落ちするという楽しみがあった。好きな男子に話かけるネタを作ったり、席替えでどんな配置になったら最高か妄想したり、友達の誕生日会に着ていく服のコーディネートを考えたり。

 中学に入ると、母や弟が眠った夜中にそっとリビングへ降り、私のDNAの素である夜の住人・父とおしゃべりするのが好きだった。父は会社の経営者で、毎日昼に出掛けて夜遅く帰ってくる生活をしていた。母は「子供の運動会もまともに参加したことがない」なんて嘆くけれど、私も弟も父が好きだし、愛情が足りないと感じたこともない。

 そんな父とたくさん話せる夜中はすごく特別な時間で、主に読んだ小説の感想を話したのだけど、まだ子供な私の感想を興味深そうに聞いてもらえることが嬉しくて、父の読んだ小説を次々と追いかけた。

 大学生になり、不真面目らしく外泊をくり返し、そのたびに母から心配のメールがきていたが、父からそういった連絡をもらったことはおろか、小言を言われたこともなかった。酔って帰った深夜には、相変わらず小説を読んだり映画を見ている父の姿がリビングにあって、世間話をする時もあれば一緒に映画を観ることもあった。

 会社員になると、父のオフィスと私の勤め先が徒歩数分の距離になったため、よく父の車に乗せて貰って出勤していた。自宅から一時間弱のドライブは楽しくて、その時にも小説や映画や、少し仕事の話もするようになった。帰りに待ち合わせて食事をする日もあったりして、それまで生魚が食べられなかった私は寿司屋のカウンターで衝撃を受けたりもした。

 気付けば私は、父にとって「おもしろい長女」になりたいといつも思っていた。そんなふうに過ごす時間の中で、徐々に父と対等みたいになれる瞬間が嬉しく、今ではきっと母よりわたしの方が父の仕事を理解しているように思うし、少しだけど一緒に仕事をしたこともある。

 母のような「ザ家庭の女」をかわいく思いながら、私の恋愛観はいつも「好きな男に一目置かれる」ことをゴールにしてしまうのだ。

 コンプレックの類は、あまり無いと思っているけれど、私は立派なファザコンなのだ。